いつも、雨
それと同時に、憧れてやまない2人……従兄の恭匡と初恋をこじらせてひきずり続けている義人が、明らかに百合子より由未を大事に想っている事実は、昔も今もつらい。

くやしくないと言えば嘘になる。


……どうして……どうして、わたくしではダメなのかしら……。


そんな想いが消えなくて、自分に自信がなくなってしまった。


でも、妬ましいとも思わない。

……いや、思った時期ももちろんあった。


でも、由未に対する黒い感情は、義人に抱かれるごとに薄くなり、いつの間にか消えてしまった。


それに、知ってしまったから。

義人とも、由未とも、同じ血を引いていることを。


……半分、兄妹……半分、姉妹……。


ずっと大人に囲まれて育ってきたひとりっこの百合子にはそれはむしろ憧れの存在だった。


積極的に、仲良くなりたい、とまでは思わない。

由未と自分と、親しくなれそうな共通点も見当たらない。


しかし従兄の結婚相手として、前向きに受け入れたいとは思っている。



……でも、由未さん……お稽古事とか、お行儀とか……大丈夫かしら?


別にイケズな気持ちではなく、百合子は由未のことを心配し始めていた。





実際、由未は、よく言えば元気一杯、悪く言えばあまりにもガサツだった。

玄関先にドタバタと走って現れた由未に、百合子は思わず顔をしかめ、注意してしまった……。


ついつい口を滑らせたのは、百合子も領子も同じだった。


久々に訪れた天花寺邸は、もはや領子の知る家ではなかった。




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「わたくし、もっと優しい人間になりたいと思いましたわ……」


齢(よわい)50歳にして、領子は嫌味ではなく、本気でそう言っていた。


ため息をつく領子は、しょんぼり落ち込む少女のように愛らしかった。



要人は、眉をひそめた。

「何を今さら……と言いたいところでが……由未が粗相をいたしたのですね。……いたらぬ娘で……申し訳ありません。」


領子は小さく首を横に振った。

「いいえ。前向きにがんばっていらっしゃいましたわ。……考えてみれば、これまで由未さんは受験勉強にかかりっきりでしたんですもの。花嫁修業はこれから始めるのでしょうね。……わたくしたちが心配しなくても、あの恭匡さんが放置するわけありませんのにね。……僭越でしたわ。」
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