いつも、雨
「うん。和也先輩、当たり前やけど、当時からモテてはったから……女子マネ達が好きだったことを口々に言い出してんわ。したら、その流れに混じって、しれっとあおいちゃんが言わはってん。『佐々木!告(こく)ってくれよったのに、無視してごめん!』って。一瞬、場がしーんとしたわ。」

「……あらあら……大胆ねえ……。」

「うん。あおいちゃんしか、そんなこと言えへんよね。頼之さんが笑わはって、何となく緊張が解けたけど。どうしようかと思ったわ。したら、今度は和也先輩が、自分に好き好きゆーてくれた女子マネ一人一人に、『気持ちに気づかんくて、ごめん』とか『告白してくれたのに、断わってごめん』とか、真面目に謝りださはって……、その時に、どさくさに紛れて、何もゆーてへん私にも謝らはってん。『本気で好きになったのに、俺のせいで、あかんくなって、ごめん。……そやのに、勝手にずっと心の支えにしてて、ごめん』て。……みんなの前でそんなん言われても……ねえ……。」


苦々しく、由未は顔をしかめた。


「……え……佐々木和也くんって……由未の気持ちに応えてくれたの?両想いになったの?つきあったの?え!?お母さん、知らない。聞いてない。由未の片想いで終わったんじゃなかったの!?」

佐那子は、驚いて、ものすごく今さらなことを聞き出そうとした。


由未は、ため息をついた。

「……つきあってないし。一瞬ね、気持ちは通じ合ったと思う。これから、つきあおう!って、盛り上がったのは確かやわ。でも、あかんかってん。つきあう話、なしになったん。電話で断られて、終わり。せやし、ほんまに、つきあってない。」


「ああ、そういうこと。佐々木和也くん、学生のときに、できちゃった結婚したんやもんね。……そう。そうやったの。」



さすが有名人。

プライベートの、かなりナイーブな話まで周知されてるのね……。



由未は、返事もできず、うつむいた。



……みんなの前で、あんなこと……言われても……


……。

……ううん。


もし万が一2人きりの状態で、あんなこと言われたら、私……絶対、泣いてしまった……。

とっくに忘れられてると思ってたのに……、和也先輩の中に私がまだいたなんて……。


……そんなの……。


……。


……。


……。


……うれしいよぉ……。



「で?何て答えたの?何も言わなかったの?」
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