いつも、雨
佐那子が庭の野鳥と戯れているのを見て育ったからかもしれない。
まいらは、ショップ店員の手から小松菜を囓っていた青いセキセイインコに目をキラキラさせてずっと見ていた。
「……手乗りで、よく馴れてますよ~。……指、出して。」
ショップ店員の指示通り、まいらが人差し指を差し出した。
青いセキセイインコは、なぜか、まいらの指を通り越して、手首のあたりにしがみついた。
驚いたまいらは、
「おぉぉぉお~?」
と、変な声を出していた。
インコは、さらに羽ばたき、軽く飛び、まいらの肩に着地した。
「おばあちゃん!鳥!来た!肩!肩!」
気ままに飛び回るインコに、まいらはすっかり魅了された。
こうして、竹原家に青いセキセイインコが家族の仲間入りを果たした。
母の希和子は
「お世話できるの?おばあちゃんにやってもらっちゃだめよ。自分でしなさいね?」
と、まいらに釘を刺したが、まあ、無理だろう……。
「いいよ。まいらがサボっても、俺がやるから。希和は、無理せんとき。」
研究に手が回らないほどに、義実家の寺の手伝いで忙しい日々を送る希和子を気遣って、義人はそう言った。
しかし、まいらは意外とよく面倒をみた。
毎朝、餌と水を換え、学校から帰って来たら、鳥かごの掃除をした。
「いざや。おいで。」
かわいがられていることは、小さな鳥にも伝わるらしい。
鳥のいざやは、部屋の中で放鳥しても、名前を呼ばれると、まいらに飛びついてきた。
名前は、「いざや」と付けた。
それは、もともと、まいらが男の子だったら希和子が付けたいと考えていた名前だった。
鳥が一羽増えただけで、竹原家は少し明るくなった。
佐那子の笑顔も増え、次の入院までの短い期間を、穏やかで楽しく過すことができた。
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3月半ば。
二度めの入院の際には、要人が同行した。
「……お忙しいのに……いいのよ?お医者さまの説明の時だけ来てくださったら、充分よ?」
佐那子は遠慮しようとしたが、要人は頑として譲らなかった。
「いいから。貸しなさい。」
キャリーバッグのみならず、小さなハンドバッグまで佐那子から取り上げた。