いつも、雨
……まさか、平日のこんな時間に、要人が病室にいるとは思わなかった……。
むしろ、確実にいないであろう時間を見計らって見舞いに来たつもりだったのに……。
しかも、あんな……イチャイチャ……してるなんて……。
領子は、思った以上にショックを受けていた。
奥様を大事にしてほしいと訴え続けてきたのは、領子自身だ。
そこに嘘はない。
なのに、目の当たりにすると……こんなにも、苦しいなんて……。
冷たい、重たい塊が、ずしんと胸に落ちてきたような、そんな心地がしてきた。
それでもかすかな笑顔をキープしている領子が不憫で……誰にも見えないように、こっそりと、一夫は領子の背中を撫でた。
一夫の温もりが、領子を支えた。
それは、佐那子も同じだった。
似たような病を克服して、今、こうして元気な顔を見せた一夫の存在自体に、勇気付けられた。
「手術明後日やったら、明日からもう食事制限入らはるんやろ?せやし今日のうちに、好きなもん、たーんと食べてもらおう思て、いろいろ持って来ましたんや。後で、社長に食わせてもろてください。」
一夫は、佐那子にそう言ってから、まるで小学生男子のようにニヤニヤと笑って要人をからかった。
領子ならともかく、一夫には何を言われても動じない。
いや、むしろそうして茶化してくれた一夫に、要人は感謝の念を抱いた。
「ありがとう。術後のケアとか、また、教えてくださると、助かります。」
当たり障りない言葉に、万感の想いを込めて、要人は一夫に頭を下げた。
とても領子には言葉をかけられなかったし、ましてや瞳を交わすこともできなかった。
「ほな、邪魔したら悪いし、帰るわ。奥さん、手術がんばりや。また来週あたり応援に来るしな。社長、お邪魔しました。」
一夫はそう言い残して、帰って行った。
領子はお人形のように微笑を崩さず、佐那子に深々と頭を下げていた。
……領子もまた、要人を見ないまま去ってしまった。
一応、2人を廊下まで見送ってから、要人は佐那子の枕元に戻った。
「……恥ずかしいところ、見られちゃったねえ……。」
佐那子は、気の毒そうにそう言った。
まるで他人事だ。
嫌味ではなく、要人と領子の関係を慮っているらしい。
苦笑して、要人は首を横に振った。
「かまわんだろ。夫婦なんだから。……続き、食べられるか?一夫くんの持って来てくれた、うまそうなケーキとかのほうがいいか?」
要人も佐那子も、領子のことについては一言も触れなかった。
それが、お互いへの思いやりだった。
むしろ、確実にいないであろう時間を見計らって見舞いに来たつもりだったのに……。
しかも、あんな……イチャイチャ……してるなんて……。
領子は、思った以上にショックを受けていた。
奥様を大事にしてほしいと訴え続けてきたのは、領子自身だ。
そこに嘘はない。
なのに、目の当たりにすると……こんなにも、苦しいなんて……。
冷たい、重たい塊が、ずしんと胸に落ちてきたような、そんな心地がしてきた。
それでもかすかな笑顔をキープしている領子が不憫で……誰にも見えないように、こっそりと、一夫は領子の背中を撫でた。
一夫の温もりが、領子を支えた。
それは、佐那子も同じだった。
似たような病を克服して、今、こうして元気な顔を見せた一夫の存在自体に、勇気付けられた。
「手術明後日やったら、明日からもう食事制限入らはるんやろ?せやし今日のうちに、好きなもん、たーんと食べてもらおう思て、いろいろ持って来ましたんや。後で、社長に食わせてもろてください。」
一夫は、佐那子にそう言ってから、まるで小学生男子のようにニヤニヤと笑って要人をからかった。
領子ならともかく、一夫には何を言われても動じない。
いや、むしろそうして茶化してくれた一夫に、要人は感謝の念を抱いた。
「ありがとう。術後のケアとか、また、教えてくださると、助かります。」
当たり障りない言葉に、万感の想いを込めて、要人は一夫に頭を下げた。
とても領子には言葉をかけられなかったし、ましてや瞳を交わすこともできなかった。
「ほな、邪魔したら悪いし、帰るわ。奥さん、手術がんばりや。また来週あたり応援に来るしな。社長、お邪魔しました。」
一夫はそう言い残して、帰って行った。
領子はお人形のように微笑を崩さず、佐那子に深々と頭を下げていた。
……領子もまた、要人を見ないまま去ってしまった。
一応、2人を廊下まで見送ってから、要人は佐那子の枕元に戻った。
「……恥ずかしいところ、見られちゃったねえ……。」
佐那子は、気の毒そうにそう言った。
まるで他人事だ。
嫌味ではなく、要人と領子の関係を慮っているらしい。
苦笑して、要人は首を横に振った。
「かまわんだろ。夫婦なんだから。……続き、食べられるか?一夫くんの持って来てくれた、うまそうなケーキとかのほうがいいか?」
要人も佐那子も、領子のことについては一言も触れなかった。
それが、お互いへの思いやりだった。