いつも、雨
なかなかすっきりとは上がらない雨を理由に、2人は再び抱き合い、交わった。


これが最後ではない。

また、逢える。


……自分にそう言い聞かせても、今は何の慰めにもならない。


ただ、こうして互いの熱を感じ合い、瞳を交わす……心が震える瞬間だけが確かだった。



日が暮れる頃、やっと雨が止んだようだ。

領子は、本当に独りでさっさと帰ってしまった。


飛び去ってしまった恋人の余韻に耐えられず、要人も早々にチェックアウトして帰社した。


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夜、佐那子の病室へ行けたのは、面会時間が終わってからになってしまった。


「……来てくれた……。」

佐那子はうれしそうにそうつぶやいて、近づいた要人の首に腕を回して、ぎゅーっと抱きついた。


「すまない。遅くなった。……体調は、どうだ?」

「ん。……お腹すいたぁ……。」


ふっ……と、要人の口から笑いが漏れた。


「そうか。それは困ったな。」

「うん。飴ちゃんとかなら、食べてもいいかなぁ。」

「我慢なさい。……これで……。」


そう言って、要人は佐那子に口づけた。



長い長いキスで、佐那子はとろ~んと蕩けた。


「明日は朝からみんなで来るから。ゆっくり休みなさい。」

そう言い置いて、病室を後にした。



帰宅すると、パジャマ姿のまいらが笑顔で迎えに出てくれた。

「おかえりなさ~い。」

「……ただいま。寝ないで待ってくれていたのかい?」


セキセイインコのイザヤが逃げてしまってから、初めての笑顔に、要人は多少面食らった。


……鳥が見つかったとは聞いてないが……見つかったのか?


まいらは、うなずいて、それからぺこりと頭を下げた。

「うん!あのね、ごめんなさい。それから、ありがとう。……イザヤのこと……。」


……吹っ切れたのか?

「いや。……逃がしてしまって、すまなかったな。……雨も上がったし、無事でいるといいな。おばあちゃんが帰ってくるまでに、警察が見つけてくれるかもしれないし……。」

要人の子供だましを遮るように、まいらは首を横に振った。

そして、両手を合わせて目を閉じると、小さく念仏を唱えた!

それだけで、まいらの変化の理由がわかった。


……なるほど……。


「孝義くんが、来たのかい?」
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