いつも、雨
希和子の義実家の寺を継いだ坂巻孝義を、まいらは信望している……というよりは……初恋というべきだろうか。

実の母親の同級生で、もちろん既婚者なのだが、まあ、さすがにまだまだ不倫を心配する必要はないだろう。


「ううん。ママがダウンしちゃったから、お電話でお話してん。孝義くんに、いっぱい反省して、いっぱい探してあかんかったんやから、あと、私にできることは、イザヤがどこかで元気でいるようにお祈りすることだけって教えてもろてん。……それと、次の鳥さんは、逃がしてしまわへんように、って。」

「……そうか。……そうだな。」


似たようなことを、実の親である義人も希和子も何度も言っていたと思うのだが……さすがに敬愛する男の言葉には別の大きな力が働くらしい。


まあ、それで元気になるなら、よかったよかった。


「じゃあ、おばあちゃんが退院したら、次の子を買いに行くのかい?」


もじもじ……と、まいらは恥じらい、小さく首を横に振った。


「……買うのは簡単やけど……今、警察で保護されてる子がいるねんて。かわいそうやし、その子をお迎えして、お世話してあげたいな、って。」

「ほう!……でも、まいら?……本当の持ち主が現れたら、返さなきゃいけないよ?」


おそらくそんなことは既に承知なのだろうとは思いながらも、念のためにそう尋ねてみた。


するとまいらは、大きくうなずいて、そして笑顔になった。

「うん!それならそのほうが、鳥さんも、持ち主さんも幸せやもん!……それにね、イザヤも同じように、誰かに見つけてもらってお世話してもらえてるかもしれないし、優しくしたげるねん。」


……たぶん、これも孝義の入れ智恵なのだろう。


要人は苦笑をかみ殺して、至極真面目な顔を作って、まいらに言った。

「そうか。確かに、そうかもしれないな。では、大切にしてあげなさい。」

「何かね、羽根、切ってはるねんて。せやし、今度はあんまり飛べへんねんて。」

にへら~……と、まいらが笑った。


だから、あっさり保護されたのかな?

羽根を切る……か。


かわいそうな気もするが、確かに、そのほうがペットとしては安心なのかもしれない。



……まあ、それでもその鳥は飼い主の元から逃げてしまったわけだから、どの程度の効力があるのかはわからないが。
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