いつも、雨
藍染の絽の着物を涼やかに着こなした領子は、いつもに増して美しかった。
「とうとう、我が家に仏壇が置かれましたよ。」
要人の軽口に、領子は眉をひそめ、首を傾げた。
「……どうされましたの?……竹原のご両親ですら、お寺に任せっきりでしょうに。」
「ええ。それはそれとして。孫のペットの鳥を祀るために、ペット用の仏壇を買いに行ったはずなんですがねえ……希和子の義実家から、そういうことなら……と、立派な仏壇が運ばれました。」
「まあ。……でも、大丈夫ですの?迷信とは存じますけど……亡くなったかたがいないのに仏壇を買われると、その家に不幸があるとか言いません?」
「そうですよね?私もそう聞いたことがあったので、少し驚きましたが……あちらの教義では、仏壇は死者を祀るものではなく、仏様をお祀りして朝な夕な念仏を唱えるためのものなので、むしろ希和子の花嫁道具にしたかったんだそうです。」
肩をすくめてそう説明してから、要人は領子に微笑みかけた。
「……形式上、希和子をあちらの寺にごく短期間だけ預けはしましたが、ずっと我が家に暮らしていて家財道具は全部ありましたから、お道具類は断ったんですよ。さすがに仏壇だけの花嫁道具というわけにはいかなかったようですね。」
「それは、たしかに、シュールね。」
領子つられて頬をゆるませた。
「今は、孫が毎朝毎晩、拝んでますよ。……孫の目の前で、猫にやられたそうです。」
「えっ!?」
サッと、領子の顔色が変わった。
多感な思春期の女の子が、ペットを目の前で惨殺されたなんて、想像するだに気の毒だ。
「……かわいそうに……。」
要人は苦笑して、つけ加えた。
「ええ。本当に。……逃がしてしまった時には私も苦しかったのですが、まだ、どこかで生きてるかもしれない、誰かに保護されてるかもしれない、と勝手ながら、いい方向に考えることもできたのですが……猫に咥えられて行ってしまったとなると、もう……自分を責めるしかないですよね。自分を恥じ、悔いて……今度は、ペットショップで売れ残っていた脚の悪い子を連れて帰ってきましたよ。償いのような気持ちなんでしょうね。」
「ま……あ……。……本当に、鳥がお好きなのね……。」
「とうとう、我が家に仏壇が置かれましたよ。」
要人の軽口に、領子は眉をひそめ、首を傾げた。
「……どうされましたの?……竹原のご両親ですら、お寺に任せっきりでしょうに。」
「ええ。それはそれとして。孫のペットの鳥を祀るために、ペット用の仏壇を買いに行ったはずなんですがねえ……希和子の義実家から、そういうことなら……と、立派な仏壇が運ばれました。」
「まあ。……でも、大丈夫ですの?迷信とは存じますけど……亡くなったかたがいないのに仏壇を買われると、その家に不幸があるとか言いません?」
「そうですよね?私もそう聞いたことがあったので、少し驚きましたが……あちらの教義では、仏壇は死者を祀るものではなく、仏様をお祀りして朝な夕な念仏を唱えるためのものなので、むしろ希和子の花嫁道具にしたかったんだそうです。」
肩をすくめてそう説明してから、要人は領子に微笑みかけた。
「……形式上、希和子をあちらの寺にごく短期間だけ預けはしましたが、ずっと我が家に暮らしていて家財道具は全部ありましたから、お道具類は断ったんですよ。さすがに仏壇だけの花嫁道具というわけにはいかなかったようですね。」
「それは、たしかに、シュールね。」
領子つられて頬をゆるませた。
「今は、孫が毎朝毎晩、拝んでますよ。……孫の目の前で、猫にやられたそうです。」
「えっ!?」
サッと、領子の顔色が変わった。
多感な思春期の女の子が、ペットを目の前で惨殺されたなんて、想像するだに気の毒だ。
「……かわいそうに……。」
要人は苦笑して、つけ加えた。
「ええ。本当に。……逃がしてしまった時には私も苦しかったのですが、まだ、どこかで生きてるかもしれない、誰かに保護されてるかもしれない、と勝手ながら、いい方向に考えることもできたのですが……猫に咥えられて行ってしまったとなると、もう……自分を責めるしかないですよね。自分を恥じ、悔いて……今度は、ペットショップで売れ残っていた脚の悪い子を連れて帰ってきましたよ。償いのような気持ちなんでしょうね。」
「ま……あ……。……本当に、鳥がお好きなのね……。」