いつも、雨
……もはや、ただの嫉妬だということに気づきながらも、要人は不機嫌になってしまった。
午後になり、桜子がやってきても、予定通り、実家の水でコーヒーを入れて振る舞うことすら忘れてしまった。
どこまでも礼儀正しいというか、他人行儀な桜子に、どう接すればいいのか……。
威圧しないよう、優しく、心を砕いているのだが……やはり、桜子の心が見えない……。
「会社以外で話せば、私にも敬語を崩してくれるんだろうか……。」
ついついそんなことをつぶやいてしまって、後悔した。
神戸の水は秘書に託したが、3時の休憩時に、桜子はコーヒーより紅茶を所望したらしく、……結局、目的を果たすことができなかった……。
むしゃくしゃした気持ちは、領子(えりこ)の顔を見れば、すっと凪いだ。
愛しさに満たされた濃厚な時間をすごした後、ピロートークでことの顛末を語った。
領子は、気遣わしげに諭した。
「ねえ。気づいてらっしゃらないの?竹原。……あなた、ずいぶん僻みっぽくなってらっしゃってよ。お孫さんの桜子さんに対する愛情より、義人さんに対する嫉妬のほうが勝ってしまって……。それでは義人さんだけじゃなくて、ご家族のみなさんがおつらいわよ?」
慈愛に満ちた瞳が、要人の凝り固まった心をほぐす。
要人は息をついた。
「……そうですね。認めたくはないですが、これも、老化現象なのでしょうね……。」
「仕方ないわ。わたくしたち、もう、そういう歳ですもの。……そろそろ肩の荷をおろして、楽になってもいいのかもしれませんね……。」
領子の言わんとすることは、よくよくわかっている。
会社を譲って、名誉職に引いたほうがいい。
しかし、義人には譲りたくない。
……我ながら、ずいぶんとこじらせたものだな……。
要人のため息がとても深刻で……領子もつられて息をついた。
******************************************************************************
その週末。
恒例の園遊会で、要人はようやく桜子の夫となった薫と会うことができた。
つい先日会った純喫茶マチネにいる光とは……顔の造作自体はどちらも整っているし似てなくはないのだが、受ける印象が全く違った。
午後になり、桜子がやってきても、予定通り、実家の水でコーヒーを入れて振る舞うことすら忘れてしまった。
どこまでも礼儀正しいというか、他人行儀な桜子に、どう接すればいいのか……。
威圧しないよう、優しく、心を砕いているのだが……やはり、桜子の心が見えない……。
「会社以外で話せば、私にも敬語を崩してくれるんだろうか……。」
ついついそんなことをつぶやいてしまって、後悔した。
神戸の水は秘書に託したが、3時の休憩時に、桜子はコーヒーより紅茶を所望したらしく、……結局、目的を果たすことができなかった……。
むしゃくしゃした気持ちは、領子(えりこ)の顔を見れば、すっと凪いだ。
愛しさに満たされた濃厚な時間をすごした後、ピロートークでことの顛末を語った。
領子は、気遣わしげに諭した。
「ねえ。気づいてらっしゃらないの?竹原。……あなた、ずいぶん僻みっぽくなってらっしゃってよ。お孫さんの桜子さんに対する愛情より、義人さんに対する嫉妬のほうが勝ってしまって……。それでは義人さんだけじゃなくて、ご家族のみなさんがおつらいわよ?」
慈愛に満ちた瞳が、要人の凝り固まった心をほぐす。
要人は息をついた。
「……そうですね。認めたくはないですが、これも、老化現象なのでしょうね……。」
「仕方ないわ。わたくしたち、もう、そういう歳ですもの。……そろそろ肩の荷をおろして、楽になってもいいのかもしれませんね……。」
領子の言わんとすることは、よくよくわかっている。
会社を譲って、名誉職に引いたほうがいい。
しかし、義人には譲りたくない。
……我ながら、ずいぶんとこじらせたものだな……。
要人のため息がとても深刻で……領子もつられて息をついた。
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その週末。
恒例の園遊会で、要人はようやく桜子の夫となった薫と会うことができた。
つい先日会った純喫茶マチネにいる光とは……顔の造作自体はどちらも整っているし似てなくはないのだが、受ける印象が全く違った。