いつも、雨
「……さすがだな。なるほど。光くんは、神戸から動く気はなさそうだ。……そうか……。しかし、けっこうな年の差だな……。……6年……か……。……そうか……。」


6年の差。

それは、要人と領子の年齢差と同じだ。


彼らはいくつの頃、出逢い、恋に落ちたのだろうか。


つきあい始めたのが中学1年生と、大学1回生……か。

……それも、同じというわけだ。

さすがに、親近感を持つなというほうが、無理だ。


むしろ2人の恋の成就を応援してやりたい。



そんな気持ちにさえなっている自分に気づき、要人は苦笑した。



……心配しなくても、俺と領子さまとは事情が違うのに……。


彼らの前にある障害は、年齢差と中距離ぐらいのもの……そんなもの、とっくに乗り越えて、今があるのだろう。



「あの光くんがねえ……。……では、来年からは彼にも招待状を出してくれ。菊乃さんの晴れ姿、きっと観たいだろう。」



ふっ……と、原が自然な笑いをこぼした。


怪訝そうに要人に見られて、原は表情を改めた。

「……いえ、失礼いたしました。……光さんは、菊乃お嬢さんとおつきあいされていることをまだご両親にも薫さんにもお話しされてなかったようです。おじいさまと、古城章さんはご存じだそうですが。」


「ほう?」


そんなに長い年月つきあっているのに?


「……薫さんが前にこちらの園遊会に来られたのは4才になってらっしゃらなかったというのに、当時小学3年生の桜子さんよりもよくよく覚えてらっしゃったようですね。薫さんが、芳澤の咲弥さまと菊乃お嬢さまにわざわざ話し掛けに行かれて、……それで、イロイロ判明したようでした。薫さんも、菊乃お嬢さんも、驚かれてましたよ。」



なるほど。

彼は記憶力も優れているのだな。

……しかも、社交的だ。

おもしろい男だな。


「菊乃お嬢さんにも、昔、光さんとこちらでご一緒した記憶がなかったそうです。3才でしたから忘れておられても仕方ありませんが、当時4才の咲弥さまは覚えてらっしゃって、菊乃お嬢さんが、当時、光さんに見とれておられたことをからかってらっしゃいました。菊乃お嬢さんは、そんな昔から光さんの顔に惚れていたのかと、くやしがっておられました。……9才の時に、たまたま地下鉄で乗り合わせた光さんに一目惚れしたのが馴れ初めだと思っていたそうですが、そのさらに6年も前にも巡り会っていたとは……よほどのご縁なのでしょう。」
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