いつも、雨
そんな領子の心がけがいじらしくて……要人は領子の望みなら何でも叶えたいと、より強く思っている。

ゴールデンウィーク中、毎日、東京・京都を往復するとか……言われるまでもなく、度が過ぎている。

もちろん、仕事もからめるし……、未だにつかめない鴨五郎の消息も探しているけれど。


……鴨五郎から預かった貸倉庫の鍵は、未だに持ったままだ。

何度か近くまでは行っているのだが、その都度、素通りしてきた。


柄の悪いヤクザのような男達が、車の中から貸倉庫の入口を見張っている。

それが鴨五郎と関係しているかどうかは、わからない。

だが、直感的に「まずい」と思った要人は、ただの通行人のふりをした。


その後も、車種や人物は変われど、如何にも柄の悪い男達が常にいるので、機会を逸している。






「……難しい顔、してらっしゃるわ。眉間に皺。……お仕事、うまくいってらっしゃらないの?」

タクシーの中、小声で領子がそう尋ねた。


要人は、思わず眉間を指でなぞって、それから苦笑して見せた。

「いや。そっちは順調。……探し人が、見つからなくってね。鴨五郎のおっちゃん。どこ行ってんろうなあ。」

「鴨五郎さん……。お元気かしら?」


2人でそんなことを言い合っていると、遠慮がちに運転手が口を開いた。

「あのぉ……鴨五郎て、有名なホームレスですか?鴨川の。」


思わず顔を見合わせた。

「はい!そうです!」

「ご存じですか?」


口々にそう尋ねると、運転手は驚いた顔をして、ミラーで2人を見た。

「や。知ってるゆーほどは、知りません。ここ数年、姿を見せへんので、死んだんちゃうかて言われてますけど、あの噂、ほんまやったらしくて……」

「あの噂って、なあに?」

「ほら、ほんまは金持ちで立派な家もあるのに、ホームレスしてるっていう噂。当たらずとも遠からず、だと思うよ。実際、金に不自由してなかったっぽいし。」


要人が領子にそう説明するのを聞いて、運転手は大きくうなずいた。

「そうそう!そうなんですよ!てっきりのたれ死んだ思ってたんやけど、同僚が病院まで送迎したそうなんですよ。」

「送迎って……自宅から病院ってことですか?」
< 80 / 666 >

この作品をシェア

pagetop