いつも、雨
……なんだか、竹原が、いろいろ……鮮やかすぎて……自分の子供っぽさが……惨めになってくるわ。


豪華で贅をこらしたお料理をいただきながら、領子(えりこ)は要人(かなと)をちろちろと見ていた。

少しはだけた浴衣の胸元がまぶしくて……とても凝視できないのだ。


要人は、リラックスしてかなりアップグレードしてもらった料理と、こだわりの地酒を楽しんでいた。


「……わたくしも……一口だけ、いただけますか?」

領子が、そう声をかけた。


「やめといたら?……まだ、お身体、落ち着いてらっしゃらないでしょうし。一応未成年だし。お勧めはしいひんなあ。」

自分も未成年のくせに、要人はそんなふうに止めた。


「……では、あとで、ナイトキャップに少しいただけますか?」




……どうやら、口移しで飲ませろ、ってことらしいな。

それなら、まあ……断わる理由はないか。




領子のおねだりに要人はうっすら笑った。



あ。

やっと、やらしい顔、した。


領子は、要人の表情に、少しホッとした。

あまりにも、自分ばかりが悶々としていて……実は、要人にはその気がないのではないか……。

そんな不安すら感じ始めていた。


冷静に考えればそんな筈もないのだけれど……。


……お馬鹿さんね……わたくし。



領子はニッコリほほ笑んで、せっせとお料理を口に運んだ。



******************



雨が少し強くなってきたみたい……。


薄ぼんやりした灯りに、窓の雨粒をキラキラと輝くのを、領子は要人の腕の中でぼんやりと見ていた。


……幸せだった。



痛みが、全くなかったと言えば嘘になる。

でも、それ以上に気持ちよくって……痛みなんか、上書きされて、すっかり消えて、忘れちゃったわ。


事後も要人が悦楽を教え込むので、領子の身体は滾々と潤い続けて出血が止まらなかった。

初めてなのに何度もイッて……、領子は全身汗だくになってしまった。



「……そのためのお風呂だったのね……。」

「確信犯っちゅうわけちゃうけど……結果的には、そうなったなあ。」
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