君の声が、僕を呼ぶまで

●華やいでいた、白の世界

白ばっかりの世界。

物心ついた時から、そうだった気がする。


「華ちゃん、とっても似合ってる!」

「えへへ、華、可愛い?」

「うん、すっごく可愛い。華ちゃんは、ママの自慢の娘だよ」


ひらひら、ふわふわの真っ白なお洋服。

ママが、何でそういうのばっかり買ってくれてたのか、知ってる。


「いいなぁ、華も、みんなみたいに、公園でいっぱい遊びたい」

近所の子達が走り回ってるのを見ながら、手を繋いでいるママに言った。


「お洋服、汚れちゃうよ?」

「うーん、それは嫌だなぁ…」

「華ちゃんが、あと少しお注射頑張って、先生がいいよって言ったら、汚れても大丈夫なお洋服を買ってあげるから、そしたらお友達と遊ぼうね」

「分かった、華、頑張る!」
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