君の声が、僕を呼ぶまで
本当は、汚れてもいいような安いTシャツも、動きやすい短パンも、タンスの奥にたくさんあったの、知ってる。

子供騙しで、そうやって、白い洋服を与えてたんじゃない。

だって、「華ちゃん、ごめんね」って、ママが泣きそうに言ってるとこ、何度も見た。


あれは、何回目の入院の時だったかなぁ。

数が多くて、覚えてないや。



白いシーツ。

白いカーテン。

白い入院着。


白のナース服の看護師さん。

白衣の先生。



真っ黒に日焼けしている同じ年頃の子と比べて、白くて細い華の手。

血の気が引くと、真っ青になるっていう言い方をするけど、あれは嘘。

顔面蒼白っていう言葉。

白だけが本当。


だって、倒れた華の白い顔を見る時の、血の気が引いてるママの顔、真っ白だもん。
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