君の声が、僕を呼ぶまで
「小春、サラは元気?」

「うん、春が近づくと、猫って縁側でお昼寝する事が増えるよね」

「いいな、気持ち良さそう」

「うん、そんな顔してる」



小春が声を取り戻した日。

小春は、サラの言葉が聞こえなくなったと言った。


「…サラ」

小春がそう呼びかけると、サラは「ニャー」とだけ、鳴いたそうだ。


それを聞いた時、誰もが不安しか抱かなかった。

せっかく声を取り戻したしたのに、一番近くで支え続けてくれていた、サラが。

小春の、一番の心の拠り所だったサラが。


でも、小春は、泣かなかった。


「サラ、ありがとう」

と、微笑んで、サラの頭を優しく撫でたそうだ。
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