幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
「何これ」
「見て分からない? 踏み台」
ピンク色の小さな踏み台がちょこんと私の足元に置かれている。
飛駒は段ボールを折りたたみながら、深く溜息を吐いた。
「姉貴と身長の差があって、この台所とか使い辛いだろ。上の棚だって届かないし」
「そ、そうだけど、なんか踏み台とか子どもみたいで恥ずかしい」
子どもを保育する人間が、小さな子供用のふみ台を使うなんて。
ピンク色に、お花のイラストがいっぱい描かれている。
この踏み台をどんな顔して買って来たんだろ。
「別に。葵に買ってやったってことにしてもいいし」
「葵くんにピンクの台なんて不自然だってば!」
「……うるせえなあ」
拗ねたような口調で、飛駒が近づいてくる。
「お前の為にと思ったのに、俺一人がはしゃいで馬鹿みてえ」
「……はしゃいでるの?」
「見て分かるだろ? はしゃいでるし、めちゃくちゃ浮かれてる」
見て分からないから聞いたんです。
不機嫌そうな口調に、きっと睨まれた様な目。
どうみても、浮かれてるようには見えない。
葵くんと一緒に居る時の方が、もっと表情あるし。