幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
初恋だと何十年前の話をしてるんだ、馬鹿。
そんな話より、その電話の相手をどうにかしないといけないだろ。
レンコンを力いっぱい切りつつも、さっきの飛駒の言葉を必死で忘れようとした。
なのに。
「おい、美結」
ほら、この呼び方。
絶対に初恋だって嘘だ。
扱いが雑だし。
「今日、葵はうちの実家に泊まるってさ。もう風呂に入って爆睡してるって」
「……嘘」
飛駒の顔は、どういっていいのか複雑そうな、照れを隠した様な表情だった。
「結婚を意識している恋人同士なんだから、葵が居なくても問題ないだろって親が」
おばちゃんと話してたんだ!
いや、おばちゃん、まずその結婚を前提にした恋人自体が嘘なんだよ。
「……ひ、飛駒も家に帰ったら?」
レンコンを真っ二つにしながら、冷静に努めてそう告げた。
「なんで。モニターは此処に持って帰ってるから無理」
「じゃ、あ、仕事場で寝てきなさいよ」
そうじゃなければ、今から私と飛駒はこのマンションで二人っきりなわけだ。
そんなの、耐えられない。