幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!


「さーって、今日は何かな。鳥ミンチってことはレンコンのハンバーグ?」

「いやいや、話を終わらせないで! いいから、さっさとどっか行ってってば!」
一歩近づいた飛駒に、私は一歩下がる。
だが、悔しいかな。足幅が違うせいで一歩一歩と間合いが詰められていく。

「こんなに頑張った俺を家から追い出すって、酷くないか?」
「うっ」
「俺は、美結のハンバーグを食べるまで一歩も動く気はない」
今、滅茶苦茶動いてるじゃないか!
と上げ足を取ってやりたいが、やっぱり飛駒の目が怖くて逃げた。

「……ハンバーグ食べたら出て行くの?」
「いや、一緒にお風呂に入って俺が髪を乾かしてから寝る」
「!」
冗談だと思いたい発言だけど、飛駒の目は笑っていなかった。

じりじりと縮まった距離。
見下ろされる瞳。

無意識に身の危険を感じ、レンコンを切っていた包丁を強く握りしめた。

場合によっては切り刻んでやる。

「お、お兄ちゃんにこのこと、後で報告してやるからね!」
「報告って何? 今から既成事実作っておかないと報告できないんじゃない?」
「いい加減に――」
怒鳴り散らそうとした私を遮るかのように、テーブルの上に置いてあった携帯が振動し始めた。

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