幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!

流されてやるものか。
でもこのまま間合いを詰められて、一瞬でも触れられたら逃げられなくなりそう。

そんな、息もさせてくれないキツイ眼差し。

「電話早く出たら?」
「出たくない。俺はずっと美結を好きだった」

――え?

突然の告白に、テーブルの上で震えている携帯の音がシンクロした。

バイブ音と同じように何度も何度もクエスチョンマークが頭の中に浮かんでくる。

「……姉貴が切迫流産だって聞いて、葵になんて言おうか悩んでたら、美結は言ったろ。『葵くんやママに会いたくて出てこようとしてる』って。俺が身体小さくてからかわれてる時さ、お前はまだ葵ぐらいの歳だったけど『ひこまは、わたしとおないどしになりたくてはやくうまれてきたの! いまからおおきくなるんだから』ってガキども追い払ってさ」

「……そうだっけ。ご、ごめん覚えてないかも」
飛駒の目が怖いと思う前の記憶は、何故かそんな鮮明には覚えていない。

「覚えてないのは、お前の言葉が自然なもので、空気みたいに当たり前の考えだから。――美結の言葉はいつも優しくて、あったかくて、俺は好きなんだ」

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