幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!

「葵、ばぁば、お仕事行ってくるわね」
「いってらっしゃーい。またあのパエリアつくってね」
「任せて」

ガッツポーズをしたのち、私に口を挟む隙も与えないまま飛び出していった。
あのはっきり何でも言ってしまうおばさんでさえ、お兄ちゃんのブラコンには平伏していたのか。

ちょっと勝気だった幼少時は盾になってくれたし、身長が伸びなくてちまっとしたままの私を心配してくれて確かに誰が見ても過保護だった。

でも今は頻繁に連絡もしてないのになあ。

「にいに、おしごとからかえってくるかな?」
「うーん。どうだろうね。忙しかったら無理かもしれないよ」
誤魔化しつつも、内心では穏やかではない。

葵くんのバスが来るまであと30分ほど。

それまでに飛駒が帰って来なければいいと思ってしまう。
昨日の告白の返事を聞かれたら、……どう答えていいのか分からないから。

今まで嫌われていたと思っていたし、葵くんの前で見せる柔らかい笑顔とか昔とギャップがありすぎるし。

今は顔を合わせたくない。
なんだか、昔とは違う怖さだ。

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