幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!

いつ。
いつから。
どのタイミングで。
どうして。
……なんで飛駒?


これだ!という瞬間がなくて、じわっとインクを落とされてしみ込んで、気付いたらその色に染まっていたような、そんな居心地の悪い感じだった。


お弁当を作り終え、駅一つ向こうの飛駒の動物病院へ向かう。
迷うかなっと思ったんだけど、駅から下りて携帯で地図を見ながら行くとすぐに見つけた。

肉球の窓ガラスが可愛い一階。どこかのオフィスかと思うぐらい、二階はスタイリッシュで全体吹き抜けの窓ガラスになっていて中が見える。
二階はリハビリしている動物や入院している動物が見えた。

そして駐車場は満車。六台全て止められ、端には何台も自転車が停まっている。

恐る恐る中に入れば、一斉に視線が飛んできた。

(……何これ)

声が出ないほど驚いた。
待合室は上品なふかふかの一人用ソファが大きな柱を中心にぐるりと置かれている。
高価そうな絵画や動物の写真が飾られた壁に、端っこではオートピアノがクラシックを奏でている。
本当にここは動物病院かと呆れてしまったが、ちくちくと浴びる視線の方々の胸や膝の上には猫や小動物がいる。

そして、揃いもそろって女性ばかりだった。
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