幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
「お!?」
奥から声がするので振り返ると、簡易ベットの上で顔のうせに乗せていただろう雑誌を掴みながら起き上がる男性が此方を見ていた。
顎に髭を生やして、眠たそうな顔をしている。
が、野性的というのだろうか。がっしりした筋肉に、意志の強そうな目、そしてちょっとけだるそうな雰囲気で飛駒とは違うがモテそうな整った顔立ちをしている。
「奥さんじゃないの? 一緒に住んで疑似結婚して一緒に住んでるって自慢してたし」
「や、あの、違います! 兄の甥を一緒に引き取ってるだけで」
しかもそんな生活まだ一カ月も一緒にしてません、と言い訳しようともその人はニヤニヤする。
「そう? アンタ、嫌がってる様子じゃないし。そんな大きな弁当持ってくるあたり、愛があるんじゃないの?」
「こ、これは他の獣医さんもいるだろうから多めに作ってきたんです」
彼のペースに乗せられそうで、距離を保ちつつ弁当を近くのテーブルに置いて見せた。
ここは休憩室なのか、簡易ベットとテレビ、小さな冷蔵庫、そして本棚、本棚から出された沢山の本が置かれたテーブルがある。
テーブルは多少ごちゃごちゃしていたが、ここも綺麗に整頓してあった。
「へえ。食べたい」
「いいですよ。食べやすいようにオニギリもサンドイッチもラップ巻いてます」