幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
二段の大きな弁当箱を開けると、中を覗きこんで髭の人は数秒固まっていた。
「あの」
「ああ、ごめん。俺も家に帰りたくなったわ。髭の人改め、藤森 優勢と言います。飛駒とはタメで、共同経営してるんで良かったら仲良くしてください、美結ちゃん」
「え、名前」
「知らないはずないよ。毎日のように自慢してくるし。俺はとっくにその幸せ味わってるんだけどね」
藤森さんはそう言うと、首から下げていたネックレスを取り出す。
ネックレスにはシルバーの細いリングが通されていた。
「俺は学生結婚してるから今年で五年目かな。だから何か飛駒の事で悩んでたら相談聞くよ。だから弁当食べていい?」
ナイスタイミングでグーっとお腹がなったために、つい私は吹きだしてしまった。
見た目はちょっと近寄り難そうな人だったけど、中身は気さくで面白い人だった。
「いいですよ。実はスープもあるんです」
「うわー。写メ撮っていい? あとで悔しがる飛駒に見せてやろう」