小倉ひとつ。
「すみません、普段は気をつけているんですが、たまにくせでやってしまうんです……」
「いいえ、ありがとうございます。嬉しかったです」
反省しきりの瀧川さんに、にっこり笑ってコートのボタンをとめる。
びっくりしただけで、少なくとも私は全然嫌じゃない。
役得でした、ありがとうございます。大変素敵なくせだと思います。
手袋をごそごそ着けていたら、それでさっき寒かったことを思い出したらしい。
手袋取ってきます、と玄関を離れた瀧川さんが、ついでにホッカイロをいくつか持ってきてくれた。
「立花さん、ホッカイロいりますか?」
「手袋があるので大丈夫です。ありがとうございます」
「分かりました。ではこれは、明日使います」
持ってきたホッカイロをコートのポケットに忍ばせて、瀧川さんも手袋をはめる。
ポケットに入れておけば忘れない。明日の朝、瀧川さんの爪は紫色をしていないことだろう。
「明日も冷え込む予報ですものね」
「最近本当に寒い日が続きますよね」
マフラーをきつく巻きつけてしっかり防寒してから、荷物を持ってお部屋を出た。
「いいえ、ありがとうございます。嬉しかったです」
反省しきりの瀧川さんに、にっこり笑ってコートのボタンをとめる。
びっくりしただけで、少なくとも私は全然嫌じゃない。
役得でした、ありがとうございます。大変素敵なくせだと思います。
手袋をごそごそ着けていたら、それでさっき寒かったことを思い出したらしい。
手袋取ってきます、と玄関を離れた瀧川さんが、ついでにホッカイロをいくつか持ってきてくれた。
「立花さん、ホッカイロいりますか?」
「手袋があるので大丈夫です。ありがとうございます」
「分かりました。ではこれは、明日使います」
持ってきたホッカイロをコートのポケットに忍ばせて、瀧川さんも手袋をはめる。
ポケットに入れておけば忘れない。明日の朝、瀧川さんの爪は紫色をしていないことだろう。
「明日も冷え込む予報ですものね」
「最近本当に寒い日が続きますよね」
マフラーをきつく巻きつけてしっかり防寒してから、荷物を持ってお部屋を出た。