小倉ひとつ。
なんとか戒め直そうと内心焦る私を、隣を歩きながら、立花さん、と瀧川さんは穏やかに呼んだ。
「先日言いかけたことなんですが」
「はい」
先日言いかけたことというのは、お座敷でお祝いした際に、私を呼びとめたときのことだろう。
なんでもありません、とあのときは流されてしまって聞けなかったけれど、ちょっと気になってたんだよね。
なんでしょう、と見上げると、瀧川さんは短く息を吸った。
「あのとき、本当は。せっかくなら立花さんとご一緒したいなと、思ったんです」
お誘いすればよかった。
小さな呟きは、無声音になりきれずに私の耳まで届いた。
え。
え?
あれ。ええと、それは——それは、なんというか。なんだか、その。
今私が、一生懸命戒めようとしたことなんじゃないだろうか。
「でも、お祝いをお願いするときにご都合をお伺いしていなかったのに、急にお誘いしてもご迷惑かと思い直しまして」
変に呼びとめてしまってすみませんでした、と言われたけれど。
いまだ若干追いつかない頭を鈍く動かして、どうにか首を振る。
「いいえ。迷惑だなんてそんな、お誘いくださったら喜んでご一緒しましたのに」
「先日言いかけたことなんですが」
「はい」
先日言いかけたことというのは、お座敷でお祝いした際に、私を呼びとめたときのことだろう。
なんでもありません、とあのときは流されてしまって聞けなかったけれど、ちょっと気になってたんだよね。
なんでしょう、と見上げると、瀧川さんは短く息を吸った。
「あのとき、本当は。せっかくなら立花さんとご一緒したいなと、思ったんです」
お誘いすればよかった。
小さな呟きは、無声音になりきれずに私の耳まで届いた。
え。
え?
あれ。ええと、それは——それは、なんというか。なんだか、その。
今私が、一生懸命戒めようとしたことなんじゃないだろうか。
「でも、お祝いをお願いするときにご都合をお伺いしていなかったのに、急にお誘いしてもご迷惑かと思い直しまして」
変に呼びとめてしまってすみませんでした、と言われたけれど。
いまだ若干追いつかない頭を鈍く動かして、どうにか首を振る。
「いいえ。迷惑だなんてそんな、お誘いくださったら喜んでご一緒しましたのに」