小倉ひとつ。
直近の予定は頭に入っているけれど、慌てて一応手帳を手繰り寄せる。


「社会人になる前というと今週末ですね。ええと、休日はどちらもあいてます。瀧川さんはいつでしたらご都合よろしいですか？」

『俺もどちらでも構いませんが、土曜日にしましょうか。日曜日にすると月曜日に響きかねませんし』


ああ、これも実体験に基づいてるのかな。お疲れさまです……。


今はお互いのお休みの関係で土曜日だけれど、これからもしどちらかのお休みが変わったとしても、できるだけ翌日に響かない日にお誘いしよう。


『お店のご希望はありますか？　立花さんは洋食がお好きだったかと思いますが、アレルギーの有無等お変わりありませんか』

「ええと、そうですね……」


少し前に、ざっくり好みを伝えようとして洋食ってお伝えした。それを覚えていてくださったの、ものすごく嬉しい。


でも、ごちそうしていただく以上、具体的なお店は指定しにくいなあ。


というか、私が瀧川さんと行けるようなお店を知らない。


瀧川さんは学生じゃないんだから、まさか、みんなでわいわいはしゃぐようなお店に行くわけにもいかないよね。


ましてやふたりきりだし……。
< 321 / 420 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop