小倉ひとつ。
私が要さんより遅く生まれていたらこうはならなかった。
要さんが私より早い月に生まれていたらこうはなかった。
プレゼントはもちろん嬉しい。お祝いも嬉しい。そもそも要さんが彼氏でいてくれること自体が夢みたい。
でも、泣き濡れた過去に、諦めなきゃって言い聞かせた理由に、擦りきれた戒めに、私が背伸びをしなくても優しいいろいろが付随するのは、今だけなのだ。
全然そんなことはないんだけれど、要さんにひとつだけ追いつけたみたいで嬉しい、と送ると、短い返事が来た。即答だった。
『九月が来なければいいのに』
優しくて穏やかな、甘い微笑みで再生される。
ぎゅう、とスマホを持つ両手を握った。
『来てくれないとお祝いできないから嫌だよ。お祝い、させてね』
約束したじゃない、と送ると。
『うん。ありがとう』
『いいえ』
勝手にいろいろがあふれそうだったから、なるべく短く返事をして、吐き出すみたいにそっと笑った。
湿った呼吸でクッションを抱きしめる。
関係が変わっても、七つでも八つ上でも、私たちはどうしようもなく年上と年下だった。
要さんが私より早い月に生まれていたらこうはなかった。
プレゼントはもちろん嬉しい。お祝いも嬉しい。そもそも要さんが彼氏でいてくれること自体が夢みたい。
でも、泣き濡れた過去に、諦めなきゃって言い聞かせた理由に、擦りきれた戒めに、私が背伸びをしなくても優しいいろいろが付随するのは、今だけなのだ。
全然そんなことはないんだけれど、要さんにひとつだけ追いつけたみたいで嬉しい、と送ると、短い返事が来た。即答だった。
『九月が来なければいいのに』
優しくて穏やかな、甘い微笑みで再生される。
ぎゅう、とスマホを持つ両手を握った。
『来てくれないとお祝いできないから嫌だよ。お祝い、させてね』
約束したじゃない、と送ると。
『うん。ありがとう』
『いいえ』
勝手にいろいろがあふれそうだったから、なるべく短く返事をして、吐き出すみたいにそっと笑った。
湿った呼吸でクッションを抱きしめる。
関係が変わっても、七つでも八つ上でも、私たちはどうしようもなく年上と年下だった。