私のご主人様Ⅱ

青海の話は続く。

季龍と梨々香の血縁上の父親である組長に2人の所在を尋ねたが、返ってきた答えは誘拐された、ここにはいないと言う言葉のみ。

だが、若頭とお嬢と共に消えた半数近くの組員たちが、青海の疑いを深める。

誘拐されたのではなく、逃げ出したのではないかと心の底で推測しながらも辛抱強く組長を問い詰め続けたが答えは変わらない。

らちがあかないと踏んだ青海は片っ端から組を訪ね歩き、季龍と梨々香の行方を追った。

だが、どれだけ組を訪ねても2人の姿どころか、かつての仲間の姿さえない。

「もう諦めるしかないかと半ば諦めかけたとき、風の便りで永塚組のことを知りました。まさかと思って何とか場所を突き止め、ここに」

「それで、あいつには知らせたのか」

季龍の問いに青海はすぐに否定する。

「組を出てから連絡はとっていません。自分が若たちを追ったことも知らないかと」

「…」

部屋を沈黙が包む。

それは、どこかで安心を抱く一方で、嫌悪や憎悪と言った負の感情を抱くものだった。
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