私のご主人様Ⅱ

「…青海、昼間俺が乗った車が追跡された。捕まえようとしたが、しつこくは追って来なかった。心当たりはないか」

「…耳にした噂でよろしいのなら」

季龍の言葉に青海は慎重に口を開く。

その返答が心当たりがあると言っているようなもので、自然と緊張感が増した。

「武力勢力を整えてる組があると、その組は影で繋がりを持ってるそうです」

「…その組の名前は」

「舛田組です。…ただ、表立った行動は見ていません。しかも、相手取ろうとしている組もわかりません」

舛田組と聞いて季龍の脳裏に浮かんだのは登校当初、琴葉にむやみやたらに近づいてきたクラスメイトの顔。

名前は舛田 颯(ますだ はやて)。舛田組の若頭だ。

影で準備を重ね、季龍を永塚組若頭として認識して、わざと琴葉に近づいてきたとしたら…。

タイミングが重なりすぎだ。

もし、もし舛田組が抗争の準備を進めていたとして、その標的が永塚組であるのならば、舛田颯は情報を得るために近づいてくる。

季龍が1つの推測にたどり着く中、源之助はその目を険しくさせる。
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