旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
コツコツとヒールを鳴らしながら重いドアを押しホテルへ入る。
そこに広がるのは、高い天井の大きなフロント。
金色と赤色をメインにした立派な受付カウンターを挟むように曲線を描いた赤い絨毯の階段がある。
す、すごい……!まさしく高級ホテルといったその眩しさに、入口にしてもう気後れしてしまう。
パーティーの参加者や宿泊客らしき人々が行き交う中で、私はキョロキョロと辺りを見回した。
「杏璃」
すると呼ばれた名前に振り向くと、そこには今朝出て行った時の黒いスーツとは違う、光沢のあるライトグレーのスーツに同じ色のベスト、えんじ色のネクタイ、といつもよりやや派手めなパーティー用のスーツに身を包んだ彼がいた。
「玲央さん、お待たせしました」
「俺もさっき来たところだ」
そんなまるで恋人同士かのような会話を交わして、私と彼は合流する。
隣に並んだ私に、その目は上から下まで視線を向けた。
「それにしても、随分化けたな」
「化けたって……檜山さんよりひどい言い方ですね」
「檜山のことだから『馬子にも衣装』とか言ってただろ」
檜山さんが私に対してどんな反応をするかなど分かりきっているのだろう。笑いながら言い当てられ、私は苦笑いをした。
「けど、いいドレスだ。あの店のスタッフに任せて正解だったな」
ふんわりとさせた私の前髪をそっと手で整えながらドレスを褒める彼に、そういえばと思い出す。