旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
すると中年男性は「そうかそうか!」と笑った。
「君もついにそういった相手を見つけたか!いやぁ、まだまだ紹介したい女性もたくさんいたのに残念だなぁ」
あ、そっか。お見合い話を持ちかけられるのも嫌だって言っていたもんね。こういう相手がいれば、波風立てず断れるってわけだ。
上手く使われているなぁ、と思うとちょっと悔しい。
そう納得していると、不意に玲央さんはなにかに気づいたように絡めていた腕を離す。
「杏璃、後ろぶつかるぞ」
そして小さな声でそう言うと、背後の人から避けさせるように私の肩をそっと抱き寄せた。
肩に直接触れた、彼の大きな手。少し冷たい体温に、心臓はまた強く跳ねる。
……そんな風に触れられると、ドキドキする。
触れた肩が、熱を帯びる。
変なの。目の前にこんなに沢山の料理が並んでいるのに、気にならないくらい、心は彼に向いている。
熱が顔に、出てしまいそう。
ドキドキ、ドキドキと、心臓がうるさいよ。
「おや、立花社長じゃないですか。お久しぶりです」
胸のときめきを落ち着けるように抑えていると、続いて玲央さんに声をかけてきたのはすらりとした背の高い男性。
玲央さんと同じ歳くらいだろうか。
この会場内では比較的若く、黒いスーツに身を包んだその人は、面長な顔立ちに彫りの深い顔をしていて、玲央さんとはまた違ったタイプのかっこよさを漂わせている。
玲央さんよりほんの少し背が高く、長い脚をした黒髪の彼は、微笑みながらこちらを見た。