旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「こんなかわいい婚約者と過ごしていれば、仕事に身が入らないのも当然ですね。聞けば前期の経営利益、予想ほど上がらなかったそうじゃないですか」
……ところが。
関さんのそのひと言から、ふたりの間の空気がピリッとする。
「ご心配には及びません。今期は予想以上に好調ですし、愛しい人がいると頑張り甲斐もあるものです。あ、恋人のいらっしゃらない関オーナーに失礼でしたね。すみません」
それに対して反論する玲央さんからも、丁寧な言葉の中にピリピリとした空気が漂って……笑顔で交わす会話の間にも、バチバチと火花が散っているのが見えてくる。
あれ、もしかしてこのふたりあんまり仲良くない!?
仲が良い、なんて表面上だけだった。
同世代の同業者、となればライバルになって当然か。しかもホテルの知名度や評判も同じくらい、となれば余計だよね。
笑顔で嫌味を飛ばし合うふたりにはさまれ冷や汗をかいていると、不意に関さんはなにかに視線を留めて笑みを浮かべる。
「……あ、そうだ。立花社長、あちらにピアノがありましたよ。一曲弾いてみてはどうですか?」
「え?」
「聞きましたよ。たしか、海外で活躍されてた天才ピアニストなんですよね?いやぁ、一度生で聴いてみたいなぁ」
なっ……この人、いきなりなにを!?
関さんは玲央さんの背中をグイグイと押し、ホール前方にあるグランドピアノの前まで連れて行く。