旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
そして、前菜とその後のパスタを食べ終え、目の前に2つ目のメイン料理であるトマトで煮込んだチキンが出された頃には、私は関さんに本当のことを洗いざらい吐き出させられ、がっくりとして全てを認めた。
「へぇ。嫁のフリ、ねぇ」
「……はい」
はぁ……私のバカ……。
嘘をつき通せないからと言って、しかもこの男に本当のことを話してしまうなんて……!
「まぁ、ああいうパーティにひとりで行くとあれこれ言われるからな。面倒だっていう気持ちは分かるよ」
彼も同じようにひとりでいればあれこれ声をかけられるのだろう。想像つくようにふっと笑う。
「けどこうして紹介してもらうってことは彼女がほしいってことですよね?ならその人たちからも紹介してもらったらどうですか?」
「おっさんたちが紹介するのはお嬢様ばっかりだからな。好みじゃない」
好みじゃない、って……あくまで自分が選ぶ立場なのね。
相手だって願い下げ、言葉に出そうになったそのひと言を飲み込んだ。
「けど、この前のは正直驚いたよ。立花、ピアノ弾けないって聞いてたんだけどな。普通に弾けるじゃん」
『普通に』、彼の心を無視したその言い方に、ピク、と耳は反応し、私は手にしていたフォークをガチャン!とテーブルに叩きつけるように置く。
「……普通になんかじゃありません。玲央さんは、精いっぱい勇気を出して弾いていたんです」
なにも知らないくせに。
彼の震える手も、苦しんだ過去も、痛みも、恐怖も、なにひとつ。
知らないくせに、表面だけ見て言わないでよ。