旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「な、なんで……」
「これまでのお前の立花への入れ込みようを見てるとな」
自分ではあまり見せていないつもりでも、彼はなにかを察していたのだろう。
返す言葉が見つからず、私は黙って濡れた口もとを紙ナフキンで拭う。
そんな私に、彼は自分の前に置かれた水をひと口飲んで納得したように言った。
「けどなんとなく分かったよ。ただの他人のはずが、婚約者のフリしたり、立花のことで自分のことみたいに怒るわけ」
「え?」
「初めて理解してくれた、ただそれだけだったんじゃないのか?刷り込み、っていうか。別に相手が立花じゃなくても同じ気持ちになってただろうな」
彼に対して抱くこころは、『刷り込み』?
雛鳥が、初めて目にしたものを親だと思い込みついていくように。
初めて理解してくれたから、だから彼に心を開いているだけで。
この心に、それ以上の気持ちはない?
……ううん、違う。
「……違います。そんなんじゃ、ない」
関さんの目を見てはっきりと否定すると、彼は嘲笑うように「へぇ」と声を出す。