旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「わぁ……海ー!!」
建物を出る際に男性から教えてもらった、ホテルの裏からすぐにある穴場スポット。
岩場に囲まれた入り江は波もすくなく、他に人もいない。少人数で遊ぶにはちょうどいい。
青や緑など鮮やかな色のグラデーションの海に、私はすぐ履いていたサンダルを脱ぎ捨てると海へバシャバシャと駆け込んだ。
「つめたーい!檜山さんも入らないんですか?」
「結構です。足濡れるのも泥つくのも嫌なんで」
「檜山さんって冷めてますよねぇ……」
砂浜に立つ白いTシャツ姿の彼に、頬を膨らませると、膝丈のスカートが濡れてしまわないように気にしながらもバシャバシャと水を蹴って遊ぶ。
海に来たのなんて、学生の頃以来だから……もう10年近くぶり?
普段はなかなか来られないだけに、子供のようにはしゃいでしまう。
岩場のほうへ歩いていけば、磯を小さなカニが歩いているのを見つけて、ついつまみあげると急ぎ足で彼のもとへ駆け寄った。
「檜山さん!見てください、カニ!これ食べられますかね!」
「……そこは普通『小さくてかわいい』とか言うところじゃないんですかね」
「はっ!」
言われてみれば確かに!
自分の食欲がよく表れる……!
恥ずかしくて頬を赤くする私に、檜山さんはそっと手を差し出し、私から蟹を受け取り海に返す。