旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~



「わっ、あの、なんで……」

「今回は華やかなものがいいとのことでしたので、赤系を用意してみたんですよ~!あら、でもパールピンクも似合いそうですねぇ」



そしてまた今回も、訳も分からず服を脱がされドレスを着せられ、髪をセットされ……1時間後。



その場には、淡いピンク色のワンピースに身を包んだ私の姿。

先日のドレスよりもやや幼い印象だけれど、華やかさとかわいらしさのあるものだ。



ドレスの雰囲気に合わせ、髪型もふわふわに巻かれ、やはり今回も鏡を見ても自分じゃないかのような気がする。



「終わりましたか?」

「あ、はい……」



待っている間仕事をしていたのだろう。薄型のノートパソコンを閉じてこちらを見た檜山さんは、私を見てうなずく。



「やっぱり、見た目だけは悪くないんですね。あと知的さと色気と上品さが備わって食欲が減ってくれれば言うことないんですが」

「って足りないところだらけじゃないですか!」



もう、ひどい!

子供のようにふくれっ面をする私に、檜山さんは「ふっ」と笑う。



「あの、さっきから聞きたかったんですけど……今日、なにかあるんですか?」

「ええ。親会社主催の親睦パーティーが」



親会社……ということは、玲央さんのお父さんも、来るってこと?

……こんな時まで、この前のパーティーの時同様に、婚約者として笑って隣に立っていればいいってことかな。



「……瑠奈さんじゃなくて、いいんですかね」

「え?」

「玲央さんの隣に、いる人」



向き合わなくちゃって、思ってた。けど、怖気付いてしまう。

彼の隣には瑠奈さんのような人がいるべきなんじゃないか。私が隣にいたら、恥をかくんじゃないか。

なんて、また心を闇が覆う。




< 213 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop