旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
すると、広がるのは天井が高い、真っ白な壁の部屋。
その部屋の真ん中には、真っ黒なグランドピアノが置かれてており、それを囲むように壁際に置かれた背の低い棚にはたくさんのCDやレコード、本が並べられている。
「すごい、立派なピアノ……」
一歩部屋に踏み込むと、足元に落ちていた紙を踏んでしまい、くしゃっと音を立てた。
「わ、踏んじゃった」
慌てて足元を見ればそれは楽譜で、十数枚もの紙が床には散乱している。
楽譜……?なんで?
不思議に思いながらも、その楽譜を拾い集めながら部屋の中へ進む。
少しこもったような、埃っぽさが抜けない空気の中、レースのカーテンが締め切られた窓を開ければ、外の爽やかな風が部屋の中に吹き込んだ。
いい風……日当たりもいいし、真っ白な壁が余分な気持ちを払ってくれる。
けど、こんなにいい部屋をどうして隠しているんだろう?
この立派なピアノも、閉じたままの屋根に埃がかぶってしまっていて、全く使っている様子がない。
隠していたのは、このピアノのこと……?
もったいないけど、壊れてるとか使えないものなのかな。
そう思い、蓋をあけ鍵盤をひとつ押す。
ポーン……とグランドピアノ特有の、重みのあるドの音が静かな部屋に響き渡った。