旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「沢山ありますので、お夕飯のあとのデザートにもお出ししますね。玲央坊ちゃんもいちごがお好きですから」
「あ……そう、なんですね」
いちごの美味しさに一瞬忘れかけたけれど、『玲央』の名前に先ほどのことをまた思い出し、すぐ気持ちは沈んでしまう。
そんな私の気持ちの波を察するように、長谷川さんは困ったように笑みを見せた。
「坊ちゃんと、なにかありましたか?」
「え?」
「なにやら落ち込んでいらっしゃるようですから。それと、さっき来た時にあの部屋の窓が開いているのが外から見えました」
あ……そういえば窓、開けたまま。
私が落ち込んでいることと、部屋のこと、それらが繋がっていることも簡単に読めてしまったのだと思う。
そんな長谷川さんに降参するかのように、目線を下に向け小さく頷くとつぶやいた。
「……ピアノを触って、玲央さんに叱られてしまって」
その私のひと言までも読めていたかのように、長谷川さんからは穏やかな声が返される。
「きっと触れられたくなかったんでしょうね」
「あのピアノって、そんなに大切なものなんですか?」
「えぇ、大切なものだと思いますよ。玲央坊ちゃんが昔から使われているピアノですから」
昔から……って、それってつまり。
「玲央さんって、ピアノやってたんですか?」
初めて聞くことに、つい顔を上げ、思ったままたずねると長谷川さんは頷く。