旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「やっていたもなにも、もともとプロのピアニストですよ」
「へ……?ぷ、プロ!?ピアニスト!?」
そ、そうだったの!?
予想外のその話に、私は目を丸くして大きな声をあげた。
「ご存知なくても仕方ないですよね、海外を拠点としてご活動されていましたから。玲央坊っちゃんは幼い頃から天才ピアニストと呼ばれるほどの実力で」
海外を拠点としていた天才ピアニスト……。ますます彼が、別世界の人に感じられる。
「けど、その天才ピアニストがどうしてホテルのオーナー社長に?そのままピアニストをやっていた方がよかったんじゃ……?」
「ご本人もそれを望まれていたと思います、心から。ですが、望んでも叶わないこともあるんですよね」
「え?」
望んでも、叶わないこと?
それって、と問うように見つめると、深いシワを目尻に寄せ、その目は悲しげに細められた。
「……手を、壊してしまったんです。もう7年ほど前でしょうか」
「手、を……」