旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「……はぁ」
無意識にため息がこぼれたその時、ふと背後からは何者かの気配を感じた。
……うしろから、誰か来てる?
ザッザッと聞こえる足音に警戒心が働き、チラッとカーブミラーで背後を確認すれば一瞬背の高い影が確認できた。
男の人……でもただの通行人かも。気にしすぎはよくない。
そう思いながらも逃げるように自然と歩く足は早くなる。
けれど、それと同時に背後の足音も早さを増した。
な、なんで一緒に早足になるの!?まさか、つけられてる!?痴漢!?
住宅街とはいえ、一本細道に入れば暗いところもあるし……連れ込まれたらまずい。
嫌な想像をし、冷や汗をかくうちにも背後から姿は近付いてくる。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
一気に頭の中がパニックになった瞬間、近付いてきたその男は、私の肩をガシッと掴んだ。
「ひっ、イヤー!!変態!痴漢ー!!」
その大きな手の感触にサーッと血の気は引き、『自衛しなければ』という一心で、私は腕を振り上げた。
ちょうど肘は男の顎にゴンッと当たり、男は「いっ!!」と短い悲鳴をあげ肩から手を離した。
やった、手が離れた……って、あれ?
振り向けばそこにあったのは、痛そうに顎をさする玲央さんで……昼間と変わらぬシワのついたワイシャツ姿の彼は、不機嫌そうにこちらを睨む。