旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「あれ……玲央、さん?」
「お前なぁ……いきなり肘鉄とは、随分じゃねぇか」
「へ?え!?あっ……す、すみません!てっきり痴漢だと思って……!」
思い切り殴ってしまったー!
まずい、と慌てて謝る私に彼は「痴漢ねぇ」と笑うものの、そのひきつった笑みから、笑えていないのは明らかだ。
だってまさか玲央さんだとは思わなかったんだもん……!
まず声をかけてくれたら痴漢だとは思わなかったのに!
「あれ、でもどうして玲央さんがここに?」
「ちょうど起きて下に降りたら、長谷川さんからお前が出かけたって聞いてな」
私が出かけたからって……なんで?
そのひと言からでは意味が読み取れず首を傾げると、玲央さんは私の頭にぽん、と軽く手を置く。
「この辺り、暗いところも多いから。ひとりで出歩いてなにかあったら危ないだろうが」
え……?
それってつまり……心配してくれたと、いうこと?
彼からそんな言葉を聞くとは思いもよらず、ただただ驚いてしまう。けれど驚きのあとに込み上げてくるのは、確かな温かい気持ちだ。
「……ありがとう、ございます」
隠すことのできないその心を表すかのように笑うと、玲央さんは少し驚いた顔を見せた。
かと思えば、私の頭に乗せたままだった手でわしわしと髪を乱すように頭を撫でる。