俺様社長と付箋紙文通?!
世界最速のエレベーターはものすごく速かった。あっという間に53階のレストラン街に到着した。薄暗かった庫内に扉から光が差し込んできた。シャンデリアだ。一歩出るとかつんとヒールからきれいな音が聞こえた。床はリノリウムではなく、大理石だ。正面の白壁にはえんじ色の重厚感のある案内板が掲げられている。←江戸前寿司割烹・花扇、→南フランス料理・マティス、→鉄板焼・まるこぽーろ、その他いろいろ。私は案内板に示された通りに右に歩いた。
壁は白く、どのレストランも中は見えない。しいていえば自動ドアのガラスから受付カウンターがのぞける程度だ。しんと静まり返ったフロアは階下のレストラン街とはまるで別物だった。静かに料理を楽しむのが当然なのだ、と。
そんななかで一番奥にあったまるこぽーろは別格だった。胸の高さまでは味のあるクリーム色の直方体の石が積み上げられ、その上はガラス張りになっていた。店内も同じように石が積まれ、半個室に仕切られている。ところどころに白いコック帽をとんがらせた料理人がいて、お客さんの目の前でなにかを焼いている。あるところではフランベした炎があがり、きれいなパフォーマンスを見せていた。
入口に蝶ネクタイを締めたボーイさんが立っている。ボーイさんと言っても自分の父親とそう変わらない年齢のひとだ。ドーナツ屋ですと名乗ると深く深くお辞儀をされて、つい私も同じように頭を下げた。彼に案内されて、入り組んだ大谷石の通路を奥へ奥へと進んだ。
うわぁ。
私はその瞬間にフリーズした。窓側の半個室、カウンターの向こうに広がる53階から眺望はすごかった。一面に散りばめられた宝石がきらきらと輝いている。お気に召していただけましたか、と年配のボーイさんがにっこりとほほ笑んだ。私は言葉が出ず、うん、と大きくうなずいて返事をした。彼が言うには50階程度の高さの夜景が一番きれいだという。あまりにも高いと光自体が小さくなって輝度が下がるし、近すぎるとネオン看板がしつこい。適度な距離が夜景を楽しむコツだ、と。
L字型のカウンターには6つの椅子が並んでいる。その内側に鉄板が同じくL字型になって輝いていた。角の二つの席の前に大きな白い皿と白いナプキン、箸がおかれていた。椅子を引かれてそこに座る。お飲み物はとたずねられ、み、水、と答えた。
壁は白く、どのレストランも中は見えない。しいていえば自動ドアのガラスから受付カウンターがのぞける程度だ。しんと静まり返ったフロアは階下のレストラン街とはまるで別物だった。静かに料理を楽しむのが当然なのだ、と。
そんななかで一番奥にあったまるこぽーろは別格だった。胸の高さまでは味のあるクリーム色の直方体の石が積み上げられ、その上はガラス張りになっていた。店内も同じように石が積まれ、半個室に仕切られている。ところどころに白いコック帽をとんがらせた料理人がいて、お客さんの目の前でなにかを焼いている。あるところではフランベした炎があがり、きれいなパフォーマンスを見せていた。
入口に蝶ネクタイを締めたボーイさんが立っている。ボーイさんと言っても自分の父親とそう変わらない年齢のひとだ。ドーナツ屋ですと名乗ると深く深くお辞儀をされて、つい私も同じように頭を下げた。彼に案内されて、入り組んだ大谷石の通路を奥へ奥へと進んだ。
うわぁ。
私はその瞬間にフリーズした。窓側の半個室、カウンターの向こうに広がる53階から眺望はすごかった。一面に散りばめられた宝石がきらきらと輝いている。お気に召していただけましたか、と年配のボーイさんがにっこりとほほ笑んだ。私は言葉が出ず、うん、と大きくうなずいて返事をした。彼が言うには50階程度の高さの夜景が一番きれいだという。あまりにも高いと光自体が小さくなって輝度が下がるし、近すぎるとネオン看板がしつこい。適度な距離が夜景を楽しむコツだ、と。
L字型のカウンターには6つの椅子が並んでいる。その内側に鉄板が同じくL字型になって輝いていた。角の二つの席の前に大きな白い皿と白いナプキン、箸がおかれていた。椅子を引かれてそこに座る。お飲み物はとたずねられ、み、水、と答えた。