俺様社長と付箋紙文通?!
初めはきらきら輝く宝飾品たちにうっとりしていた。しかし目が慣れてきて自然と目に入ったのは値札だった。


「ひいいーっ! こんな高級品いただけませんっ!」
「うるさいわね。あなたにプレゼントしないと私が叱られるのよ。早く決めて」


長身美人のバリキャリ女史にすごまれて、私は商品を選ぶことにした。ダイヤモンド限定と言われて、店内をうろついていると、中央のショーケースにひまわりを模したデザインのコーナーがあった。ネックレス、ピアス、指輪、ブレスレット、アンクレット、ブローチ、etc.バリキャリ女史は私がそれらに食いついているのを察して店員を呼びつけた。蝶ネクタイをした30代の男性が擦り手をしながらショーケースを開けた。

蝶ネクタイのひとはネックレスを取り上げると私の首に巻いた。私はごくりと息を飲んだ。だってマルがいくつも連なる高価な品。それをすかさず彼女はスマホで撮影した。


「あのぅ」
「うるさいわよ! ボスに了解を得るのよ」


右の薬指の採寸をして、バリキャリ女史は会計をした。黒の肩掛けカバンからお洒落な風呂敷でつつまれた塊を取り出した。その包みを慣れた手つきで素早き解くと中から札束が現れた。ガラスのショーケースの上で束を数えながら積んでいく。1、2、3、4、5……10束。まだ続く。1、2束と積んだところで彼女の手が止まった。


「あと、同じシリーズでタイピンかカフスボタンあったかしら?」


その言葉を聞いた店員はすっ飛んで奥の部屋から小箱を持ってきた。こちらでございます、と開かれた箱にはひまわりのデザインが施されたタイピンとカフスボタンだった。店員が電卓を叩き、バリキャリ女史に見せると、彼女は手持ちが足りないからタイピンだけもらうわ、と更に札束を2束足した。タイピンを買ってどうするんだろう。普通女の人は使わない。恋人にプレゼントか、と私は思った。

しかし、それにしても。私はネックレスに指をやる。うつむくようにしてそれを眺める。ダウンライトを受けてそれを何倍にもして光り返すダイヤの粒。すんごくきれいでワクワクする。単純にうれしい。そして引け腰になる。こんな高価なものをもらっていいのか、こんな高級品を庶民の私が身につけてもいいんだろうか。足がすくむ。
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