俺様社長と付箋紙文通?!
親父に頼んでヘリで大学病院に向かわせた。意識をなくしたサキホの検査をするためだ。このビルの4階にもクリニックはあったが、CTなどの大きな検査機器がなかったからだ。レントゲン、超音波、CT、その他。途中サキホは目を覚まして俺はほっとした。検査後、脳波にも骨にも異常がないとの診断を受け、ヘリで帰還したものの、検査で疲れ切ったサキホはヘリの中で眠ってしまった。目が覚めるまで医務室で休ませるかと思ったが、考えてみれば捻挫した足で移動販売車を運転できるはずもない。俺はビル高層部にあるホテルを取ることにした。

51階にあるホテルのプレジデンシャルスイート、自宅に戻るのが面倒な時に泊まることもある部屋だ。自動ドアを抜けると20畳のリビングが広がる。その向こうには足元から天井までガラス張りになっていて、大都会東京が一望できる。スウェーデンから取り寄せた北欧デザインのソファ、ローテーブル。壁には大画面のモニター、天井には間接照明。壁はアイボリーの自然な白だ。

奥には寝室が二部屋ある。それぞれに天蓋付きのベッドが2台。キングサイズだ。こちらの壁色は落ち着いた深みのある赤褐色、印象派の明るい油絵が飾られている。すやすやと寝息を立てるサキホをベッドに降ろした。

夕暮れどき、部屋は暗いが起こしてはいけないと照明は最小限度に抑えた。間接照明のわずかな明かりがサキホを照らした。白い鎖骨の上に輝くダイヤ、あまりのもきれいでつい、指先で触れてみた。もっと虹色の輝きがみたくて指先で転がす。ほんの少し、サキホの肌に触れた。なめらかな肌だ。


「むむぅ……」


サキホの眉がひくついて俺はあわてて指を離した。いかん、何を血迷っているのだ。こんな田舎娘に女としての興味はない。奥にある書斎にいき、大きなデスクに備え付けてある便箋に万年筆でメモを書いた。



*−*−*


「う……ううん……ん?」

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