俺様社長と付箋紙文通?!
まだ見ぬボスさんに思いをはせる。いつか会いたい。はやく会いたい。このビルのどこかにいるのにもどかしい気分だった。
もういちど読み返そうと手元の便せんをみると、字が流れていた。インクがにじんでいる。ということは今書いたばかりの字、ということ。
「ボスさん……? ひょっとして近くにいる?」
私はベッドから降りてボスさんを探そうとした。立った直後、ずきんと足首が痛んだ。そうだ、あのときひねったんだ。でもいま追いかければボスさんに会える。私は痛む足を引きずって寝室を出た。広いリビングには誰もいなかった。そのままドアから通路に出る。
通路には誰もないかった。まだホテルのどこかにいるかもしれない。エレベーターホールからフロント階に降りる。ロビーをきょろきょろしながらフロントに向かう。恰幅のいい年配のビジネスマンやブロンドの女性、着物姿の大和撫子、ちょっとリッチそうな家族連れもいた。チェックインするひとたちでごった返している。
このなかにボスさんが……でもわからなかった。考えたら私はボスさんのことを何も知らない。ドーナツを買ってくる人。バリキャリ女史がつかえている人。コンサルタント会社の社長さんであること。知っているのはそれだけで彼の容姿はまったく知らなかった。
名前も、年齢も、身長も、顔も、髪形も、声も。
フロントでたずねてみた。でもフロントのひとは、個人情報にあたるので部屋を予約したひとの素性は明かせないといって教えてはくれなかった。お部屋の説明をしたいというのでスタッフと一緒に部屋にもどった。どうやらスイートらしい。しかも最高級のプレジデンタルスイート。300平方メートルというスペースにリビング(応接セットのほかにミニバー、グランドピアノが置いてある)、ベッドルームはふたつ(キングサイズの天蓋付きベッド、50インチのテレビ)、浴室はジャグジー・サウナ付きで眺望が楽しめるようにとガラス張りになっている。エステも受けられるように専用のベッドもある。ビジネス用に書斎もあって幅の広い大きなデスクもあった。すべての家具はヨーロッパの伝統ある家具屋の特注品で統一感がある。コンシェルジュは24時間対応だ。
もういちど読み返そうと手元の便せんをみると、字が流れていた。インクがにじんでいる。ということは今書いたばかりの字、ということ。
「ボスさん……? ひょっとして近くにいる?」
私はベッドから降りてボスさんを探そうとした。立った直後、ずきんと足首が痛んだ。そうだ、あのときひねったんだ。でもいま追いかければボスさんに会える。私は痛む足を引きずって寝室を出た。広いリビングには誰もいなかった。そのままドアから通路に出る。
通路には誰もないかった。まだホテルのどこかにいるかもしれない。エレベーターホールからフロント階に降りる。ロビーをきょろきょろしながらフロントに向かう。恰幅のいい年配のビジネスマンやブロンドの女性、着物姿の大和撫子、ちょっとリッチそうな家族連れもいた。チェックインするひとたちでごった返している。
このなかにボスさんが……でもわからなかった。考えたら私はボスさんのことを何も知らない。ドーナツを買ってくる人。バリキャリ女史がつかえている人。コンサルタント会社の社長さんであること。知っているのはそれだけで彼の容姿はまったく知らなかった。
名前も、年齢も、身長も、顔も、髪形も、声も。
フロントでたずねてみた。でもフロントのひとは、個人情報にあたるので部屋を予約したひとの素性は明かせないといって教えてはくれなかった。お部屋の説明をしたいというのでスタッフと一緒に部屋にもどった。どうやらスイートらしい。しかも最高級のプレジデンタルスイート。300平方メートルというスペースにリビング(応接セットのほかにミニバー、グランドピアノが置いてある)、ベッドルームはふたつ(キングサイズの天蓋付きベッド、50インチのテレビ)、浴室はジャグジー・サウナ付きで眺望が楽しめるようにとガラス張りになっている。エステも受けられるように専用のベッドもある。ビジネス用に書斎もあって幅の広い大きなデスクもあった。すべての家具はヨーロッパの伝統ある家具屋の特注品で統一感がある。コンシェルジュは24時間対応だ。