俺様社長と付箋紙文通?!
その地区名を聞いて私は言葉が出なかった。テツ子さんの危惧していたとおりだった。そこはとちぎでも小麦栽培が盛んで、このドーナツの材料の仕入れ先でもあったのだ。小麦粉はどこにでもあるかもしれないが、このあったか☆ドーナツはこの地区の小麦の質の良さに惚れて使っている。ほかの地域でとれた小麦ではこの味は再現できないのだ。
たいへんだ。ドーナツが作れなくなってしまう。
*−*−*
面倒なことになった。20人ほどだろうか、プラカードを持つ者、横断幕を持つ者、ここからは見えないが拡声器を持っている者もいるだろう、たぶん。
つまりは昨日より増えてしまった、ということだ。
「マイクロバスに乗って20人ほど上京したようです。どうしますか」
「どうもこうもない。白紙撤回もしない」
できるわけないだろ、と心の中で毒づく。地主とも商工会議所とも市役所とも契約を交わしている。今更白紙撤回も無理だし、するつもりもない。どこの開発地域にいっても同じことは繰り返してきた。なにごとも全員賛成の議案なんてないのが世の中だ。あの場所は金になる。そして地元人々にも恩恵がある。便利になって雇用も創出して、いいことづくめのはずだ。
「社長を出せとのことですが」
「でるつもりはない」
「ではどのように」
「文書を書く。お前のパソコンにテンプレがあるだろう。それをとちぎに置き換えて、最後に俺がサインをする。それを渡してこい」
「かしこまりました」
*−*−*
ドーナツカーの脇にはクリスマスツリー……いや、短冊ツリーの……はず。きょうも紅白Tシャツのウォール社長はドーナツに白いカードを添えて渡す。カードには“設楽ショッピングタウンとちぎ建設反対 署名_____”と印字されている。
「お買い上げありがとうございます。こちらのカードにご記入の上、ツリーにぶらさげてください。無料券をさしあげます」
たいへんだ。ドーナツが作れなくなってしまう。
*−*−*
面倒なことになった。20人ほどだろうか、プラカードを持つ者、横断幕を持つ者、ここからは見えないが拡声器を持っている者もいるだろう、たぶん。
つまりは昨日より増えてしまった、ということだ。
「マイクロバスに乗って20人ほど上京したようです。どうしますか」
「どうもこうもない。白紙撤回もしない」
できるわけないだろ、と心の中で毒づく。地主とも商工会議所とも市役所とも契約を交わしている。今更白紙撤回も無理だし、するつもりもない。どこの開発地域にいっても同じことは繰り返してきた。なにごとも全員賛成の議案なんてないのが世の中だ。あの場所は金になる。そして地元人々にも恩恵がある。便利になって雇用も創出して、いいことづくめのはずだ。
「社長を出せとのことですが」
「でるつもりはない」
「ではどのように」
「文書を書く。お前のパソコンにテンプレがあるだろう。それをとちぎに置き換えて、最後に俺がサインをする。それを渡してこい」
「かしこまりました」
*−*−*
ドーナツカーの脇にはクリスマスツリー……いや、短冊ツリーの……はず。きょうも紅白Tシャツのウォール社長はドーナツに白いカードを添えて渡す。カードには“設楽ショッピングタウンとちぎ建設反対 署名_____”と印字されている。
「お買い上げありがとうございます。こちらのカードにご記入の上、ツリーにぶらさげてください。無料券をさしあげます」