俺様社長と付箋紙文通?!
なんで、なんで、なんで??

設楽シャチョー=ボスという図式が浮かび上がる。


「うそ……」


ゆるゆると力が抜けていく。私はミニスカサンタの恰好でそのまま石畳に膝をついた。



*−*−*

オフィスの窓から下をのぞく。石畳から横断幕が消えた。人だかりも散れて、いつもの落ち着きを取り戻した。下界に降りるのは面倒くさいが、それは仕方があるまい。俺は立ち上がって社長室を出た。まどろっこしいエレベーターを乗り継いで1階に来た。昨日の強盗未遂事件の連日のデモ集会のあとの様子を確認するためだ。決してサキホの様子を見るためではない。もちろんウォールの様子を見るためでもない。ましてや二人の関係がどんなものであるかを見るためではない。

ゴホン。咳払いをしてから、吹き抜けのロビーに立ちそびえるツリーを盾に外の様子をうかがった。こっそりするつもりはない。まずは普段の様子を確認するのだ。ゴホン。

赤いドーナツカー、紅白縞のウォール、サンタ姿のサキホ。サキホが代金を受け取ると、ウォールがそれを紙袋に入れて客に渡す。その流れはスムーズだ。やけに息が合っている。

なぬ、まさか。
あのウォールが女学生モドキとほんとうにできてるというのか? いや、あのプライドの高いウォールがあんな庶民の女で妥協するものか。ゴホン。大学時代の奴の女と言えばブロンドのボッキュッボーンやきわどいスリットのチャイニーズとか、着物を召した黒髪ミスユニバースだったではないか。しかし時がたてば好みも変わる。そんなハイレベルの女に飽きて庶民に走った可能性もある。ゲテモノ食いというやつだ。

俺はツリーの陰から身を出し、ゆっくりと自動ドアに近づいた。徐々に大きくなるサキホの笑顔。どこか品のあるその顔に癒される。昨日のけがは大丈夫なのか、気持ちは平常心なのか、心配だ。ミニスカの下に伸びる足はすらりとして細い。白いタイツが妙に男心を刺激する。いかん。やはりミニスカサンタはやめさせないと!
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