俺様社長と付箋紙文通?!
左となりにいる設楽シャチョーががさがさと動いた。そして私の左の肩に何かが触れた。お化けだ、ひいいいい。頭に何かが置かれてぐいと右に向けさせられた。目の前が真っ暗になる。そしてムスクの匂いが強くなった。そしてほんのり男臭い匂い。よく目を凝らすと、黒地にグレーの縦ストライプが浮かんでいる。そして胸のポケットに青いペンが見えた。ってことはこれはスーツ? ひょっとして設楽シャチョーが私を抱きかかえている?
ほんの少し上を見ると、男のひとののどぼとけ、そしてシャチョーのシャープなあごがあった。その上には唇、鼻、大きな二重まぶた。目が合う。ぎろりと迫力のある瞳でにらまれた。こっちの意味でも怖い……。
「外を見ると余計に怖くなる。このまま俺を見ていろ」
「あ、あの」
「それともキスでもするか? 怖いのも吹き飛ぶだろう」
「や、やめてく、だ……んぐっ」
ぐい、と肩を抱き寄せられて、私の顔は彼のスーツに埋もれた。力強い腕、広い胸。ドキドキしてしまう。ましてやキスなんて……。キス、したいな。ひいいい、私は何を考えているんだ! そっと上を向いてもう一度シャチョーの顔を見る。シャチョーはもう前を向いていた。
設楽シャチョーが私みたいな田舎娘を相手にするわけないけれど。
「これからどこにいくんですかぁ?」
「とちぎだ。視察にいく」
「開発、やめられないですか?」
「決定事項だ。変えられん」
*−*−*
サキホに話しかけられて、俺は再び彼女を見た。その上目使い、反則だっ! ゴホン。俺はなにを焦っているのだ、こんな田舎の娘ごときに。
「……困るか?」
「ええ、まあ。あのドーナツはあの小麦粉がないと成り立たないんです。あの小麦粉がなくなればウォール社長が泣き崩れます」
サキホはそこまでウォールを愛しているのか。今俺の腕の中にいるこの女はあいつのものなのか。こんなに近くにいるのに。くそ。
「開発が進んだら俺を恨むか?」
「いいえ。仕方がないことですし。そういう運命なのかなってあきらめもあります」
「運命か」
「不動産関連は私、運がないんだと思います」
「運がない、というのは?」
ほんの少し上を見ると、男のひとののどぼとけ、そしてシャチョーのシャープなあごがあった。その上には唇、鼻、大きな二重まぶた。目が合う。ぎろりと迫力のある瞳でにらまれた。こっちの意味でも怖い……。
「外を見ると余計に怖くなる。このまま俺を見ていろ」
「あ、あの」
「それともキスでもするか? 怖いのも吹き飛ぶだろう」
「や、やめてく、だ……んぐっ」
ぐい、と肩を抱き寄せられて、私の顔は彼のスーツに埋もれた。力強い腕、広い胸。ドキドキしてしまう。ましてやキスなんて……。キス、したいな。ひいいい、私は何を考えているんだ! そっと上を向いてもう一度シャチョーの顔を見る。シャチョーはもう前を向いていた。
設楽シャチョーが私みたいな田舎娘を相手にするわけないけれど。
「これからどこにいくんですかぁ?」
「とちぎだ。視察にいく」
「開発、やめられないですか?」
「決定事項だ。変えられん」
*−*−*
サキホに話しかけられて、俺は再び彼女を見た。その上目使い、反則だっ! ゴホン。俺はなにを焦っているのだ、こんな田舎の娘ごときに。
「……困るか?」
「ええ、まあ。あのドーナツはあの小麦粉がないと成り立たないんです。あの小麦粉がなくなればウォール社長が泣き崩れます」
サキホはそこまでウォールを愛しているのか。今俺の腕の中にいるこの女はあいつのものなのか。こんなに近くにいるのに。くそ。
「開発が進んだら俺を恨むか?」
「いいえ。仕方がないことですし。そういう運命なのかなってあきらめもあります」
「運命か」
「不動産関連は私、運がないんだと思います」
「運がない、というのは?」