物語はどこまでも!
それからというものの、彼は女の子を連れて絵本の中を巡る。女の子が興味を持った絵本に片っ端から入り、共に多くの時間を過ごした。
絵本の住人たちが「良かったね」と祝福してくれるほど、女の子と過ごす彼の日々は幸せに満ちていた。
このまま続けばいい、ずっとここにいてほしい。そうは思えど、彼は決して口にはしなかった。
口にした瞬間、“叶えられてしまいそう”で。
『言ったじゃないですか。プレゼントだって』
膝上で眠りについた女の子をあやしながら、いつぞやの本を目にする。
『その子も一人ぼっちの子なのですよ。お互いにこの世界で仲良くすればいいじゃないですか』
「この子の両親は何でいないんだ?」
『亡くなりました』
「かの方の力で何とかならないのか?」
『なります。“なるからこそ、しないなのです”。死者の蘇生はかの方自らが封じられました。それでは“生の意味”が失われてしまうからと。全てのものに幸福な人生をというかの方の願いそのものを壊してしまう恐れがありますからね。生も死もないサイクルで生き続けてきたあなたなら、よくお分かりでしょう?』
「ああ……。永遠に続かないと分かっているからこそ、今の幸せが大切に思えるんだ」
どうしようもないほどに。
「この子をもとの世界に返してくれ。俺との記憶をなくした状態で」
『予想はしていましたけど、いいのですか?今度はいつ会えるか分かりませんよ?というか、記憶までなくす必要あります?本当に?』
「くどい、さっさとしろ」
『あれほど幸福だったのに拒むだなんて、あなたは相変わらず間違った選択をするのねー』