君と、ゆびきり
「な……んで?」


そう聞いた声が少しだけ震えた。


「一緒の学校に通いたいから」


風の答えはあたしが考えていたそれとは違い、ホッとため息を吐き出した。


考えすぎだったみたいだ。


「それからさ、高校の入学式も一緒にやろう」


風がそう言い、あたしの手を握りしめた。


細くて冷たい手。


あたしはその手を温めるように握り返した。


「いいね。やろうか」


「そうこなくっちゃ」


風は笑うと、ベッドから下りた。


あたしも風と同じようにベッドから下りると、今度は丸椅子に座るように促された。


風はあたしの前に立ち、入学式の校長先生の言葉をまねはじめる。


中学校の名前は上岡中学校と名付けられた。


2人の中学校なのに、なんで風の名前だけなの?


と不満を見せると、それなら高校の名前は妹尾高校にしようと言われたので、それで合意することにした。
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