拾われた猫。Ⅱ
彼女らが帰ってから火の灯りが差す頃、土方歳三の元へ山崎丞が帰ってきた。
「入れ」
障子越しに映る彼に許可する。
すると、静かに障子が開いた。
「報告します。
先に出ていった従者の2人は女王に彼女は居ないと報告したそうでした」
「……そうか」
目を細めて揺れる火を見つめた。
「もう…これで戻れませんね」
「…あぁ。
これは俺たちの大将の意思だ。
俺たちも異論はねぇだろ?」
口角を上げて、山崎丞に視線を向けた。
それに山崎丞はゆっくりと頷く。
全員集めた状態で、近藤勇の受け答えに対して誰も意見する者は居なかった。
彼らの中ではそういうことになる。
「明日朝、大広間に集まるように香月に言付けます」
「あぁ、すまない」
山崎丞が部屋から出たことを確認すると、ジリジリと焼け付く火をフッと消した。